裏SNS " F " - 友か、秘密か -

数日後。



昼休みが終わって教室に戻ると、
空気が明らかに
変わっているのに気づいた。



みんなの視線はスマホに、
そして、千夏に向けられている。



「 え…… 」



席に座ってスマホを開くと、
" F " の投稿が目に飛び込んできた。



【 投稿主 ◇ 匿名 / TARGET ◇ 朝比奈 千夏

朝比奈 千夏の母親はシングルマザー。

夜遅くまで働いて、家事とか兄弟の世話は
朝比奈が全部やってる。

そうでもしないと生活できないとか(笑)

Point ◇ 160pt 】



周囲から視線が突き刺さる。
千夏は、息が詰まりそうだった。



「 さすがにこれって…… 」

「 ね、ちょっとやりすぎ 」



前方から、
榊原 萌子や藤井 舞、
立石 葵たちの声が聞こえてくる。



何事もなかったように
笑顔をつくって、
席に座るしかなかった。



次の日の朝。

いつもより重たい足取りで教室に入ると、
千夏が来るのを待っていたのように

百瀬 梨々花が声をかけてきた。



「 ねぇ、今日の放課後、一緒に勉強しない?」



明るく笑う梨々花と千夏に、
教室中から
好奇の視線が集中している。



「 ……無理。ほんと忙しいから 」



言葉がきつくなったのは、
自分でもわかった。
同情されているような感覚に苛立つ。



ーー放課後。



バイトに向かう途中の坂道を下ると、
通りにあるファミレスがふと目に入った。

窓際に座る
梨々花と瀬川 琉生の姿が見える。



ーー2人で勉強してるんだ。



胸の奥がぎゅっと締めつけられる。
気づけば、
千夏の指は " F " の投稿画面を開いていた。



【 投稿主 ◇ 匿名 / TARGET ◇ 百瀬 梨々花

梨々花は琉生に勉強を教えてもらっている

Point ◇ 490pt 】




数時間後、
バイトが終わってスマホを確認すると、
" F " から1件の通知が届いていた。



( え……?)



そこには、
約5万円の収入が表示されている。

千夏のバイト代にして、
約50時間分の給料だ。