裏SNS " F " - 友か、秘密か -

それから、
律とは自然と放課後を共にするようになった。

決まってカフェホールの席に座り、
スマホを手に " F " の過去の投稿を眺めながら
互いに言葉を交わす。



「 これは、フェイクだな 」

「 だろうな。
この投稿主、これしか書き込んでない。
何か狙いがあったのかもな 」

「 狙いか……。
とすると、普段は大人しいけど
なんか考えてるやつって可能性が高そうだな 」



律はいつも冷静に、言葉を慎重に選ぶ。

でもその奥に、どこか
俺に似た " 嗜み " の感覚を見つけるときがある。

" F " をただの遊びだと捉えていない。
そんな律といる時間が心地よかった。



だけど、
翔にはもうひとつ、確かめるべきことがあった。

一ノ瀬 悠――。
あいつの動きも、見逃すわけにはいかない。



あくまで傍観者のような顔をしながら、
クラスの人間関係を明らかに意識した様子で
けれども表立って何かを言うことはしない悠。

匿名での " F " での投稿は
あいつにとって好都合で、快感でもあるだろう。



何度か見かけた、
「 〜ようだ 」という言葉で
締めくくられている投稿。

大した暴露もせず、
クラスメイトの日常に深みを持たせながら
あくまで推測だと言いたげに距離を取る。



( 分かりやすいんだよな )



律に見せてもらえば案の定、
それらは同じ色ーーオレンジで示されていた。



翔は、律と過ごす時間とは別に、
あえて悠の近くにも身を置いた。

昼休みや移動教室の合間。
何気なく声をかけ、
時にはさりげなくFの話題を振ってみる。



「 最近、F、全然投稿来ないよな 」

「 ……まあ、テスト終わったばかりだから 」



悠は相変わらず、警戒心を隠さない。
けれど、それでも俺を避けようとはしなかった。



律とは、共に読み解き合う相棒のように。
悠には、探りを入れるチェスの駒を
ひとつずつ置くように。

Fというゲームの盤上で
翔は、誰よりも多くの視点を得ようとしていた。