裏SNS " F " - 友か、秘密か -

数日後、朝のHRで
珍しく鴨田先生が " F " について触れた。



「 今日の正午、
Fにアップデートが入るそうです。

事務から連絡きてたから、共有しておくね。
仕様がちょっと変わるみたい 」



ざわめきが起きる。



午前中、
クラスがその話題で持ちきりだったのは、
言うまでもない。



4時間目が終わると、
翔はスマホを取り出して、

昼休みのチャイムと同時に
アプリを開いた。



「 ……本当に変わってるな 」



起動画面の演出が、
以前より格段に凝ったものになっている。



かつては
黒い背景にロゴが浮かぶだけだったが、

今はどこか機械的で、
視線を吸い込まれるような
アニメーションに変わっている。



翔は投稿画面を開いて、
試しに一番上の
【 朝比奈 千夏 】を選択する。



すると、今までの仕様だった

【 朝比奈 千夏は 】
といったテンプレ文ではなく

代わりに、白紙の投稿フォームが表示された。



( 自由記述……?)



これは、
思った以上に大きな変化だ。

完全な匿名空間が、
さらに自由を得たということ。



ーーそれは同時に、
混沌が増す、ということでもある。



翔はスマホを閉じ、
周囲を見回す。

ほとんどのクラスメイトの視線が、
スマホへと向かっているのが分かった。



情報が、欲望が、
画面を通して渦巻いていた。