裏SNS " F " - 友か、秘密か -

そんな中、
再び教室のドアが開いた。



「 そして、
今日からこのクラスに
転校してくる生徒がいます 」



鴨田先生がそう言うと、
一人の男子生徒が静かに入ってきた。



黒髪で、背は高め。

制服は
几帳面に着こなされていて、

表情には
感情がほとんど見られない。



「 日下部 律くん。
みんな仲良くしてあげてね 」

「 ……どうも 」



転校生は軽く会釈すると、

教室の中央を通って、
席に向かっていく。

けれど──



……誰も、ちゃんと見てない。



クラスメイトの誰もが、
転校生にはさほど関心を示さず、



全員の目は、スマホへ、
── " F " へと向かっている。



たった今、
この教室で始まった「 何か 」が

彼らの興味と好奇心の
すべてを吸い取っていた。



──みんな、もう
" ゲームの中 " に入ってる。



手の中にあるスマホに表示される
" F " のシンプルなアイコンが、



私──南雲 しずくの内面を
覗き込むように、沈黙のまま光っていた。