裏SNS " F " - 友か、秘密か -

――そして、
数日後の、また昼休み。



カフェホールで
ふたりと向き合いながら、
英語の課題を進めていると、

何かを思い出したように
萌子が身を乗り出した。



「 ねえ、澪。

あの Fの投稿、
澪が事件に関わってるってやつ。

あれ、虚偽だって証明しようよ 」



……手が止まる。
耳の奥が、キーンと鳴ったような感覚。



「 えっと…… 」

「 ほら、変な憶測とかさ、消した方がいいよ 」



舞も「 確かに 」 と続ける。



「 ほっとくと、
話が勝手に育っちゃうもんねー 」

「 そうだよ。
証明できそうなもの何かありそう?」



萌子の声は柔らかい。
けれどその目には、揺らがない光があった。



……証明?



できるわけがない。

私は、
しずくの過去を知っている。

それが「 完全な嘘ではない 」ということも。



もし下手に否定すれば、
彼女の " あの日 " が、
再び暴かれてしまう。



「 そうだね…… 」



言葉が喉に詰まる。
否定も、肯定もできない。



萌子は、じっと私の目を見ている。
その視線の本意は、掴めない。



優しさか、それとも――
探るような、試すような目か。



「 どうする?」



萌子の強い目に、
胸の奥が、じくじくと痛む。

何かが、少しずつ
削られていく音がした。



「 ……うん、考えとくね 」



それを聞いて、
萌子は満足げに微笑んだ。

舞も「 そだね、焦らなくていいし!」と
軽く言ってプリンを差し出してくる。



「 ほら、あげる。
甘いの食べよ、気分晴れるよ 」

「 ありがとう…… 」



口角を上げて、
プリンの蓋を開ける。

そんな些細な動作でさえ、
澪の胸にはどこか
重たいものが引っかかっていた。



それからも澪は
変わらず、萌子と舞と一緒に過ごした。



朝は昇降口で顔を合わせ、
昼は並んで弁当を食べ、

放課後は教室に残って勉強したり、
たまにコンビニに寄り道したり。



しずくは、
澪に話しかけてこなくなった。

すれ違うたび、
どちらからともなく視線を逸らす。



まるで、互いの存在に
見ないふりをしているかのように。