裏SNS " F " - 友か、秘密か -

文化祭当日。

2年F組の教室は、
[ Truth or Lie? 〜本当か、嘘か〜 ]
のタイトルで飾られた。

展示は、3つのエリアに分かれている。



第1エリアのテーマは、知識の嘘。



[ 存在しない国旗はどれ?]

[ この動物は実在する?しない?]

[ 人は1日で約〇回ウソをつく。正しい数は?]



クイズ形式で、
来場者がボードに答えを記入していく仕組み。

玉置と樋口 蓮、律がクイズを考え、
立石 葵と舞が装飾をしたもの。



第2エリアのテーマは、架空の秘密。

クラスメイト全員が書いた
嘘か本当か分からない秘密が並んでいる。



[ 自分と完全に同じ声の人間を、
深夜ラジオで聞いたことがある ]

[ 線路にスマホを落としちゃったことがある ]

[ 中学の時は学校に行ってなかった ]

[ 私はアメリカで生まれた ]



名前は書かれておらず、
誰のものか、本当かどうかを
自由に想像できるようになっている。

詩帆の書いた秘密には、
[ 本当 ] の投票が多く入っていた。



そして第3エリアは、観察ゲーム。

みんなで撮影した動画を上映して、
F組メンバーの嘘つきを当てるコーナーだ。



琉生が脚本を書き、
ねぎや梨々花、俊が演者として登場する。

撮影は萌子と響が担当し、
しずくと澪、遙華が背景パネルを作成。




「 この展示、めっちゃF組っぽいよな 」



ねぎがしみじみ言うと、
響が笑いながらうなずいた。



「 うん。こういうカタチなら、
あれも意味があったって、ちょっと思える 」

「 フィクションってさ、
" 本当のことを隠すための嘘 " でもあり、
" 真実を浮かび上がらせるための嘘 "
でもあるんだって 」



そう、遙華が言った言葉が
詩帆には大きく印象に残った。



そして、文化祭は大盛況のうちに終わった。

片づけが終わったあと、
みんなが教室に集まって自然と拍手が起こる。



「 これから、進路調査かー 」



ねぎがだるそうに言うと、
「 早えよ 」とみんなの笑いが弾けた。




ーー" F " が無くなった毎日。



詩帆は、ほとんど投稿しなかったものの、
何度か秘密を打ち込んでいた。

誰にも言わないまま、
そっと画面を閉じていた。



そして何よりも、
彼女は何度も TARGET になっていた。
 
けれどそれで、
誰かを責めようとは思わなかった。



どうせ、誰かが見てた。
ーーそう思えるようになったからだ。



いつもは輪の一歩外にいた彼女が、
静かにみんなの中で笑っている。



( ……まあ、いいか )



ふと、そんな言葉が浮かび、
詩帆は少しだけ肩の力を抜いた。