裏SNS " F " - 友か、秘密か -

ーー放課後。



帰り道の途中で、
悠はふと足を止める。

前を歩いていた、
見慣れた背中が目に入った。



「 ……陸人?」



名前を呼ぶと、その肩がわずかに揺れ、
ゆっくりと振り返った。



「 ……よ 」



ぎこちない空気が、
ふたりのあいだに流れる。
悠は、歩み寄って、小さく頭を下げた。



「 ごめん……いろいろ、言えなかった 」



槇 陸人はほんの少し目を見開いて、
それからふっと笑った。



「 ……俺も、この前言いすぎた。
なんか、張りつめてたんだ、ずっと 」

「 俺も……似たようなもんだよ 」



しばらく沈黙が流れた後、
陸人が目を大きく開いて言った。



「 なあ、飯、行かない?」



悠は、ほんの一瞬だけ沈黙し、頷く。



「 いいよ。
たしか、近くに中華あったよな?」

「 お、ラーメン。行こうぜ 」



ラーメンと餃子の定食を前に、
ふたりは会話を交わす。



「 覚えてる?
中学のとき、給食でラーメン出たんだよ 」

「 あったなー、あれうまかった 」

「 はあ?あれまずかったじゃん 」

「 味覚狂ってるんじゃねえの?」



他愛もない話に、笑いが溢れる。

わだかまりは、
完全に消えたわけじゃない。

でも、同じものを食べて、
笑い合える時間がそこにはあった。



食後、店を出ると、
陸人は歩きながらぽつりと呟いた。



「 じゃあ、またな 」

「 うん。また 」



ーーまた、会える。
それが、たまらなく嬉しかった。



何かが終わっていく。
そして何かが、またゆっくりと始まる。

" F " のない季節が、
静かに、けれど確かに始まっていた。