裏SNS " F " - 友か、秘密か -

鴨田は、来客室に一人取り残されたまま、
手の中の書類を見つめる。



生徒たちの、あの必死な表情が浮かぶ。

シャープペンを握りしめ、
眠気に抗いながら問題に取り組んでいた姿。

時に涙を流し、時に笑っていた彼らの顔。



彼らが " F " から得たものは
確かに多かったのかもしれない。



( ……これは " 教育 " だったのだろうか )



答えは、出なかった。
" F " は紗英の想像より冷徹で、理不尽で、
効率的なふるいだったのかもしれない。



教室に戻ると、
生徒たちは自主的に
テストの振り返りをしていた。

静かに、だが集中している空気。
このクラスは、本当に変わった。



紗英は前に立ち、
教室を見渡すとゆっくりと話し始める。
ーーなるべく、明るい声で。


「 みんな、テスト、お疲れさまでした 」



ざわざわ、と顔を上げる生徒たち。



「 とても良い結果でした。
みなさんの努力を、誇りに思います 」



拍手が起こった。
その音が少し収まった頃、
紗英は一拍置いて言う。



「 そして、Fについてですが、
アプリは本日をもって、終了します 」



教室に沈黙が走り
——次に、ざわめきが生まれる。



「 どういうこと?」

「 え、今日まで?」

「 停止じゃなくて、終了?」



あちこちで声が上がる。

紗英は微笑みながらも、
そのざわめきの中にある不安や疑問、虚しさを、
見逃さなかった。

この子たちは、戦ってきた。



その代償が何だったのか
——まだ、誰にもわからない。