裏SNS " F " - 友か、秘密か -

再びスマホを開くと、
タイムラインには2件の投稿が浮上していた。



【 投稿主 ◇ 匿名 / TARGET ◇ 瀬川 琉生

瀬川 琉生は、百瀬 梨々花と中学が同じだった

Point ◇ 30pt 】



【 投稿主 ◇ 匿名 / TARGET ◇ 立石 葵

立石 葵は母親が教師

Point ◇ 10pt 】



もはや「 知ってる 」というだけで、
何かを暴露した気になっている人間が
増えてきている。



「 それにしても、
Fってさ、やっぱ面白くない?」



舞がぽつりと言った。



「 匿名ってだけで、みんないろいろ書きすぎ 」

「 ほんと、ネタが尽きないよね。
ちょっと怖いけど 」

「 それ。でも、
怖いから見ちゃうってあるよね 」



怖いから、見たい。
見たいから、知りたい。

知りたいから、
書きたくなるーー。



萌子は、ぼんやりと
そんな連鎖を感じていた。



( 翔が、私のこと、
Fで知ったらどう思うんだろう )



顔も名前も知っている、

だけど
それ以上の " 情報 " が

投稿として流れてきたとき、



翔の中で、自分は
" その他大勢 " から
気になる一人になるだろうか。



もしかしたら、
誰かが書くかもしれない。

中学のときの話とか、
誰と付き合ってた、とか。



たとえ本当でも、噂でも。

翔の視界に自分が入るなら、
悪くないーー。

そんなことを思ってしまう自分が、面白かった。



スマホをそっと伏せ、
萌子は窓の外を見る。



春の光が
やわらかく差し込む教室で、

誰もが " 見られる " ことを
意識し始めている。



そしてその注目の中に、

誰よりも
自分がいたいと、

萌子は心の中で願っていた。