裏SNS " F " - 友か、秘密か -

ある朝。
母が「 一緒にお茶飲まない?」と誘ってきた。

理子は少しだけ迷い、
久しぶりリビングに顔を出す。

あたたかく眩しい空が、
理子の手元を、明るく照らした。



「 もう、学校には戻りたくない 」



そう呟くと、
母は「 そっか 」と微笑む。



「 転校したい。新しいところで、
今度は、自分のために頑張ってみたいの 」

「 ……わかった、そうしましょう 」



母の目に、一瞬だけ涙が浮かんだのを見て、
理子の中で何かがふっと緩んだ。



その夜、
理子は " F " の通知をオフにした。

アイコンは、まだそこにある。
でも、私はもう、それを開くことはない。



( ……これでいい )



母が、早速学校に電話をしているのが聞こえる。
「 ありがとうございました 」と
微笑んでいるのが声で分かった。



父親は、相変わらず帰ってこない。
母も、その話をしない。

けれど、理子だけは、
変わっていいのだと思った。