裏SNS " F " - 友か、秘密か -

翌朝の教室は、異様なほどざわついていた。



「 昨日の夜から、投稿ラッシュじゃね?」

「 ポイント、5倍だって。やば 」

「 これ、今のうちに稼いだほうがよくない?」

「 てか、これ見た?昨日の投稿 」



教室の中央で、藤井 舞へと差し出されている
榊原 萌子のスマホ画面がふと目に入る。



【 投稿主 ◇ K.S / TARGET ◇ 大橋 詩帆

大橋 詩帆はFを止めたいと考えている

Point ◇ 1010pt 】



「 え、マジでF止めようとしてんの?」

「 なのにポイント5倍とか、
完全に燃料注いでるじゃん 」



舞と萌子は詩帆をちらりと見る。
詩帆は黙って席についたまま、何も言わない。
ただ、その背筋は誰よりも真っ直ぐだった。



琉生はスマホを弄ってるふりをして、
周囲の声に耳を澄ませる。

耳に入る言葉は、全部 " F " の話題。
スマホに通知が鳴り、開くと、
2つ後ろに座る響からのメッセージだった。



《 あの投稿が、トリガーになったね 》

《 まあな。
投稿の瞬間からボーナスタイムとか
見てるとしか言いようがない 》



そして、その放課後。
琉生は別アカウントで、
静かに " F " を立ち上げる。

本アカウントとは別にある、
予備用として作ったアカウント。
投稿画面に、さらりと打ち込んでいく。



( 他のやつらが稼いでるのに、
俺が我慢するってのは、不公平だよな )



指先で【 完了 】を押すと、
数秒後、隣に座る響のスマホが通知を鳴らした。
響は何も言わずに琉生を見る。



【 投稿主 ◇ K.S / TARGET ◇ 瀬川 琉生

瀬川 琉生は八雲大の推薦を蹴る予定

Point ◇ 610pt →→ 3050pt!! 】



琉生は頷きながら、
スマホをポケットにしまった。