裏SNS " F " - 友か、秘密か -

数日後の放課後。
琉生と響がいつもの場所にいると、
誰かの足音が近づいてきた。

やたらと真っ直ぐな、迷いのない歩き方。
梨々花ではない、おそらく、彼女だ。



「 ……来たな 」



先に顔を上げたのは響。琉生もちらりと見る。
案の定、現れたのは、大橋 詩帆だった。



「なに?」



今回は、琉生からは声をかけていない。

なのに、わざわざここまで来るということは、
何か言いたいことがあるんだろう。

顔を見上げながら冷たく放つと、
詩帆は少しも怯まずに琉生を見た。



「 Fを止めたいの。協力してくれない?」



その一言に、琉生は眉をひそめる。



「 は?止める?」

「 分かってる。無茶だってことくらい。
でも、先生まで晒されて、理子が来なくなった。

なんで、
こんなことにならなきゃいけないの? 」



詩帆の声は真剣だった。
琉生は、一拍置いてから聞き返す。



「 で?具体的な策でもあるわけ?」

「 呼びかける。
みんなに、Fを使わないでって 」

「 へえ 」



どこまでもまっすぐな提案に、
思わず笑いそうになったが、言葉は飲み込んだ。
その横で、響が口を開く。



「 それ、誰かに止められるかも 」

「 うん。
でも、それでもやる価値はあると思う 」



琉生は溜め息をつきながら、
スマホを取り出して " F " を立ち上げる。



「 協定は解消したつもりだけど、
まあ、ちょっとだけなら乗ってやるよ 」

「 ほんと!?」

「 その代わり、変化球でいく 」



投稿画面を開き、
文字を打ち込みながら続ける。



「 Fの投稿は、多分“中の誰か”が見てる。
もしくはAIが監視してる可能性が高い。
だから、そっちに向けてメッセージを送る 」

「 ……え? どういうこと?」

「 要するに、こういう投稿をする 」



琉生は画面に表示された投稿文を見せた。



【 大橋詩帆はFを止めたいと考えている 】



詩帆は、少しの間沈黙すると、
小さく息を呑んだ。



「 ……そんな視点があったんだ 」

「 あるよ。あいつら、俺たちの動きを見てる。
だったら、こっちも見せてやればいい」



詩帆は小さく微笑んで、頷いた。



「 ……わかった。それでいいよ 」



琉生はそのまま投稿ボタンを押す。