裏SNS " F " - 友か、秘密か -

「 ……澪 」



澪は、びくっと肩を震わせて、しずくを見た。
でもその目に、拒絶の色はなかった。



「 よかったら今日、一緒にご飯、食べない?」



一瞬、澪は目を見開いた。
けれど、すぐに表情がほどけて、小さく頷く。



「 ……うん。いいよ 」



昼休み。
久しぶりに並んで食べるお弁当は、
懐かしい味がした。



「 ねえ、覚えてる? 小学校のとき、よく―― 」

「 ーー公園で、遊んだよね。
滑り台で逆走したり、
みんなで鬼ごっこしたり 」



しずくが続きを言う前に、澪が先に言う。
思わず、二人で笑った。

9年間が巻き戻ったような、
不思議な安心感があった。



翌日のお昼。


「 ……しずく、今日、
もう一人、誘ってもいい?」



澪がそう言ったとき、
私は驚いたけれど、すぐに頷いた。



「 もちろん 」



数分後、
澪に連れられて白石 遙華がやってきた。



「……白石さん 」

「 遙華でいいよ。よろしくね、しずくちゃん 」



最初こそ、ぎこちなかったけれど、
すぐに三人の会話は弾み始めた。



「 私、お弁当作るの苦手で。
今日はコンビニのレンチンばっかり 」

「え、遙華ちゃん、自分で作ってるの?
……そのシュウマイおいしそう 」

「 これ?これはね、
パッケージの " 本格 " に惹かれました 」



他愛もない話だった。
でも、それが、何よりも救いだった。



――もう、あの過去に
縛られなくていいのかもしれない。



少なくとも、
今この瞬間の自分を、
誰かと笑っていられるなら。
それでいいと、しずくは思った。