裏SNS " F " - 友か、秘密か -

数日後の放課後。
教室には、もう数人しか残っていなかった。

澪は自分の席で教科書を鞄にしまいながら、
窓の外に広がる夕焼けを、
ぼんやりと見つめていた。



「 舞、ちょっと行こ 」



教室の左前の席から、
萌子の明るい声が響く。

舞が静かに席を立ち、
何も言わずに萌子の隣へ向かうと、
二人は並んで教室を出ていった。



それを見送った後、
今度は立石葵が立ち上がる。

教室のドアに向かいながら、
何気ない口調で言った。



「 先に帰るね 」

「 ……あ、うん 」



教室には、澪だけが取り残された。

静まり返った空間に、
カーテンの揺れる音だけが響く。

外は、もうすっかり夕暮れの色に染まっていた。



それからしばらく、
澪は一人で帰る日が続いた。

誰かに声をかけることも、
かけられることもなく、

ゆっくりと沈んでいく空を見上げては、
足を動かしていた。



数日後。澪が帰り支度をしていると、
肩に軽く触れる気配があった。



「 澪ちゃん、いっしょに帰らない?」



振り返ると、
そこには白石 遙華が立っていた。

やわらかく微笑むその表情は、
どこかあたたかい空気をまとっている。



「 ……私と?」



澪は思わず訊き返す。



「 うん。
なんかね、澪ちゃんと話してみたくて 」



穏やかな声だった。
押しつけがましくもなく、気負いもない。

自然にそう言ってくれたのだとわかる声だった。
澪は小さく息を吸って、それから頷いた。



「 ……うん、いいよ 」



遙華はふっと笑って、
うれしそうに目を細めた。



「 じゃあ、一緒に帰ろっか 」



教室を出ると、夕暮れの風が頬を撫でた。
ふたり並んで歩く帰り道。

会話はたどたどしく、
けれど不思議と、気まずくはなかった。



それから澪は、
遙華と過ごすことが増えていった。

萌子や舞といるときとは違う
静かで、心の力を抜けるような時間だった。