裏SNS " F " - 友か、秘密か -

夏休みの終わりから、
約1週間後が過ぎた昼休み。

澪、萌子、舞、そして立石 葵の四人は
カフェホールでお弁当を広げていた。



「 てか、最近さぁ—— 」



ふと、舞が口火を切る。



「 ーー萌子って、なんか企んでるでしょ?」

「 え?」



萌子は一瞬だけ目を見開き、
すぐに柔らかい笑みに戻った。



「 なにそれ、こわ。企んでるって何を?」

「 知らないけど。
虚偽証明、翔と組んでやってるんじゃないの?」

「 ……そういうの、舞が言う?」

「 ん?」

「 舞だって、私に隠してたよね。
モデルのオーディションのこととか 」



その言葉に、
舞の表情がかすかに揺れた。



「 ……それ、今関係ある?」

「 あるよ。言ってくれればよかったのに 」



萌子の声は責めている感じはなく、
ただ、透明で静かだった。



「 ……だからって、
そういう言い方しなくてよくない?」



舞の声が、少しだけ尖る。
睨むような視線が、萌子に向けられていた。



「 好きで隠してたわけじゃないし。
誰だって、
触れてほしくないこと、あるでしょ 」

「 私、舞のこともっとわかってると思ってた。
毎日いろいろ話してたのに、
なんか、ずっと秘密にされてたみたい 」

「 それは、お互い様じゃん 」



舞の言葉に、萌子のまぶたがわずかに動いた。
表情が、ほんの一瞬だけ揺れる。

澪は、二人の間に立ちこめる空気に、
言葉を挟むことができなかった。



けれど、その後。
萌子がふっと、息を抜いた。



「 ……そっか。ごめん。
舞のそういうとこ、
ちゃんと知らなかったかも 」

「 ……は?」



拍子抜けしたように、舞が口を開ける。



「 ちょっと安心した。
舞って、私に怒ったりしなかったから。
どこまでが本音かわかんなくて 」

「 は?意味わかんない 」



そう言いつつも、
舞の口元には、わずかに笑みが戻っていた。



「 購買行こ。甘いの食べたい気分 」

「 ……萌子がそういうとき、
基本クッキーでしょ 」

「 わかってるじゃん 」



ふたりは立ち上がり、
いつものようなテンポで、ホールを出ていった。
澪は、ぼんやりとその背中を見送る。



静かになったテーブルで、ふと横を見ると、
葵が無言でお弁当を片付けていた。

どこか気まずそうな、
けれどそれを隠そうともしない空気。
澪は、箸を止めたまま、ただ視線を落とした。