裏SNS " F " - 友か、秘密か -

その夜、理子はふとした拍子で
部屋の片づけを始めた。

書類棚の奥、引き出しの中、
開かれていなかった段ボール。

中から出てきたのは、一冊のアルバムだった。



ーー赤ん坊の自分。幼稚園の入園式。
幼い頃に両親と行った旅行。

そして、両親の結婚式の写真。
白いウェディングドレスを着た母と、
若々しい父が並んで笑っていた。



ページをめくる手が止まる。
一枚、場違いな写真が混ざっていた。



スナックのような店のカウンターで、
酔ったような笑顔の父が、
若い女性の肩を抱いている。

その女性は、派手な化粧に整った顔立ち
――どこかで見たことがある。



目を凝らす。
瞬間、息が詰まった。



――鴨田 紗英。
2年F組、理子たちの担任教師。



喉の奥が焼けるように熱い。



" 教師が父と……?
どうして、こんな写真が? "



父は、大手証券会社に勤めている。
家に帰ってくることはほとんどない。

出張、単身赴任、
説明だけは立派で、中身のない日々。



その父と、担任教師が――
あんな写真に映っているなんて。

怒りと、混乱と、失望が、
理子の胸を乱暴にかきむしった。



理子は手元にあったスマホを
震える手で開く。

初めて立ち上げる、" F " の投稿画面。
文字を打つ指が止まらなかった。



【 投稿主 ◇ 匿名 / TARGET ◇ 鴨田 紗英

2年F組の担任である鴨田 紗英は、
スナックで働いていた。
酒を出し、男に媚びるように笑っていた。

生徒の父親とも親しかったようだ。

Point ◇ 120pt 】



最後に付け足した行は、
父親への反抗と、復讐だった。