裏SNS " F " - 友か、秘密か -

数日後の午後、
俺は相変わらず梨々花の家にいた。

去年の夏はバイト三昧だったけど、
今年はFのおかげで、働く必要がない。



「 ちょっと、そこ邪魔。
プリント広げたいんだけど 」

「 はいはい、こっち寄る 」



簡易テーブルで動画を見ていた琉生は
アプリを閉じ、ベッドへ移動。

梨々花が参考書と過去問を並べ、
ちゃっかり俺の分も準備してる。



「 いやさー、夏休みに課題とか、正気かよ 」

「 それ、去年も言ってた。
で、私の課題写そうとして、結局
" ここも違う、そこも違う " って
解説してきたの、誰だったっけ?」

「 おー、感謝しとけよ 」

「 はいはいありがとうございました 」



わざとらしく口を膨らます梨々花に、
思わず苦笑いが溢れる。



一通り問題を解いたあと、
琉生はソファーに寝転がって、スマホを開く。
何気なく、" F " のアプリに指が触れた。



「 ……あれ?」



" F " は夏休み中、機能が停止されている。
昨日まで、触れても反応のなかったアプリが
今日はなぜか、静かに、起動した。



( ……バグ?いや、意図的か?)



投稿画面を開くと、素直に立ち上がった。
そして、そこに表示されたTARGETの名前——



( 南雲……雪?)



身体が一瞬だけ強張る。
どこかで聞いたことのあるような名前なのは、
偶然か、それとも必然か。



琉生は気になって、
花山 響にメッセージを送る。



『 ちょい調べたいことある。
ファストフード店、駅のとこで 』



スマホを閉じて、ソファーから起き上がると、
梨々花が視線を向けてくる。



「 どこ行くの? 」

「 響とちょっと会ってくる 」

「 え、響って花山響?私も行っていい?」



一瞬考えて、答えた。



「 いーよ。どうせ暇でしょ 」

「 いや、私今、課題やってたんだけど?」

「 じゃあ息抜き。響も喜ぶよ、たぶん 」