大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「あら、珍しい人がいるわ」

そこへティアラが入室してきた。
セルファとユフィーリオが揃って別邸に来ていることに、ティアラは警戒した。
一体何があるのだろうか。

「こんばんは、ティアラ。これで皆揃ったようだね」

そう言いながら、セルファは態度でアリアに席につくよう促す。
名残惜しそうに離れるアリア。
ティアラはいつもの調子で席に着いた。

「今日はなんですの?」

そしてセルファに話しかけた。
セルファが席に着くと、速やかに食事が運ばれてくる。

「まずは食事が先の方がいいかな?」

妃たちを見回すセルファ。

「もったいつけずに、先におっしゃって」

ティアラは遠慮なく発言した。
アリアはティアラを上目遣いに睨みつけている。
ユフィーリオは恐らく話の内容を知っているのだろう、そ知らぬ顔で座っていた。
ミトはこのメンツで発言する勇気もなく、誰とも目が合わないよう、テーブルの上に目線を定める。

「大したことではないのですが…」

ティアラに急かされ、セルファは前置きをした後簡潔に言った。

「外交のために10日間ほどローザンを離れることになりました」

「え…、そんな…!」

驚愕の声をあげたのはアリアだ。
ただでさえ4日に1度しか会えず辛い思いをしているのに、今度は10日間も会えないなんて、アリアには耐え難いことだった。