大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

(チョロいもんだ。ザマーミロ)

本当は取引自体を無効にしても良かった。しかし、嫌がる女を無理矢理犯すような趣味はない。
それに、ミトの日が休養日となるなら、自分にも好都合だ。だから、取引内容はそのままにした。
本当はそれだけが理由ではないのだが、影は自分の気持ちに気付いていない。

「おい、ミト、起きろ」

影はミトの頬をつっついた。セルファだったらやらない行動だ。
でもミトは寝ているのだから、そんなことはどうでも良い。

「ミト」

と言いつつ、鼻をつまんでみる。
全く無反応で爆睡し続けるミト。

「緩み過ぎだろ」

影は笑った。
ついさっき、嫌がる自分を無理矢理押し倒した男の隣で、良くぞここまで熟睡できるものだ。
影はペンをとると、メッセージを書いた。

『愛するミトへ
良く寝ているので、起こすのが可愛そうに思い、今夜はそのまま退室します。
統計学や外出許可など、何かあれば遠慮なくすぐに言いつけてください。
セルファ』

もちろん筆跡もセルファと全く同じである。
影はもう一度ミトの寝顔を見てから、部屋を出た。