大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「そうだな…。無邪気で可愛らしい女性…かな。まだ多くはわからないけれど、自分に素直な人だと感じるよ」

「そう…」

「そして、ティアラは芯の強い女性だと思っています。いつも細やかに気遣ってくれ、とても愛情深い女性だと」

「え？」

予想外に自分のことを言われ、ティアラは思わず顔を赤らめた。
そのタイミングを逃さず、影は立ち上がりティアラの前に行く。
そして恭しくティアラの手をとり、膝を立てて屈んだ。
ティアラの目の高さと同じ位置にセルファの顔がある。

（何度見ても綺麗だわ…）

至近距離で見つめられ、その美しさにティアラは目が離せなくなった。
熱のこもった視線でティアラを見つめたあと、影は優しくキスをした。
唇が離れると、ティアラは顔を赤らめながら、それでも主張をする。

「もう、もっとお話したいのに…」

ティアラはセルファと体だけではなく、気持ちを通い合わせる存在になりたいのだ。

「まだ待たせるのですか？ティアラは意地悪だな…」

しかし、耳元で囁かれてティアラは何も言えなくなってしまった。