大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「ミトも気をつけた方がいいわよ。そのキスマーク、あの子に見られたら、嫉妬の嵐で八つ当たりされるかもよ」

「忠告ありがとう。でも、私は私自身の目で、彼女がどんな人かちゃんと見ようと思う」

ちょっと悪いかなと思ったけど、ミトは人づての情報だけでアリアの人格を断定したくなかった。
この先ずっと、この建物の中で生活を共有する人なのだから、少しでも良い印象を持っていたい。

「ますます気に入ったわ!」

ティアラはミトの手をとった。

「私、ミトとは仲良くなれると思う」

握った手をブンブンと振るティアラ。

「ありがとう」

その気持ちは嬉しかった。

「ミトが嫌と言うなら、もうアリアの噂話はしないわ。
私、本当は寂しかったの。ミトも交流を拒否するような人だったらってどうしようって不安だったわ。でも、全然違った。はっきりしていて、わかりやすくて、ミトのこと好きになったわ」

キラッキラの笑顔を見せるティアラ。

「なんか照れるなぁ」

絶賛されて、ミトは顔を紅くした。

「これから仲良くしましょう!ミト」

「こちらこそ、よろしくね。ティアラ」

ちょっと強引で強烈だけど、華やかで、それでいて飾らないティアラ。
彼女と友達になれたことが、ミトは純粋に嬉しかった。