大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】



「昨日はどうだった?」

「えっ!?」

「ミトは初めての夜だったんでしょう?」

ティアラは興味津々のようだ。

「いや、えーと…」

シドロモドロなミト。
昨日の夜の出来事など、誰にも言えるはずがない。
しかも未経験なのだから、適当なことを言えば墓穴掘る可能性もある。
ミトは返答に迷った。

「うふふ。ミトって奥手なのね。この手の話題はタブーかしら。
なら、話さなくてもいいわよ。その首筋のキスマークが全てを語ってるから」

ぎょっとして、ミトは首筋を手で隠した。

「ミトって可愛い。1つ違いとは思えないわ。まあ、夜は満更でもないわよね。でも、一国の妃であることを実感できるのは夜だけ」

とりあえず、ティアラはミトの反応から勝手に推測し、自己完結してくれたようだ。
追求を免れて、ミトはホッと一安心。

「のんびりした1日、悪くないって思ったのは最初の1週間だけだったわ。
もう退屈で退屈で、何の変化もない毎日がこの先ずっと続くと思うと、気が狂いそうになったの」

ティアラはうんざりとした表情だ。

「そういうもの?」

ミトはイマイチ良くわからない。

「ええ。ここに一人のときは本当に辛かったわ。明らかに私はユフィーリオより下。どんなにあがいても、それは変わらない。
だから、アリアが来たときは正直ホッとしたし、嬉しかったわ。ああ、これでやっと、同じ気持ちを分かち合える同士ができたって思ったもの。でもね…」

ティアラは首を振る。

「あの子は相当な曲者よ。きっとお腹の中真っ黒」

「もしかして、悪口?私、そういうの好きじゃないんだけどな」

ミトは話の続きを制止した。
ティアラは気を悪くした様子はなく、むしろ、嬉しそうな表情だ。