大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「ミトも見ただろう。ありゃかなりの美男子だぞ。外交で何度も会ったが、性格も素晴らしい。かなりの人格者だ。
セルファ王子になら、ミトを任せても安心だと確信している」

この天真爛漫な末っ子が、嫁ぎ先でストレスに潰されることなく、幸せな人生を送れるのか。
ギダはずっと心配していた。
だけど、ローザン王国のセルファ王子ならば間違いない。
そう思ったからこそ、この縁談を決めたのだった。

「お父様、私を一体どんだけ問題児だと思っているのよ…」

ムッとするミト。

「いやいや、そういうわけじゃないんだぞ」

「顔、ひきつってる」

ミトが突っ込むと、ギダは咳払いをして誤魔化した。

「それに、ミトにとってはかなり条件が良い」

ギダはなんとかミトをその気にさせようと必死だ。

「セルファ王子の公務の付き添いは、第一王妃のユフィーリオ妃が行っている。
だから、ミトが嫌いな王族独自の面倒な公務は極端に少ないぞ」

「え!ホント?」

その話にミトがパクっと食いついた。
ギドはよしよしと少し安堵する。

「1日のほとんどが自由時間だ。
我が国ほど大らかではないものの、ローザン王国も質実剛健というわけでもない。王宮内なら付き添いは必要だが、自由に動いて良いし、手続きはあるが街にも出ていいと聞いている」

ミトの表情が明らかにパッと輝いた。