大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

セルディオは自分の全てを打ち明けた上で、セルファが再び表に出られるよう皆に協力を求めた。
この作戦にはチームワークが必要だ。
自分が王位を狙っていると誤解されたままでは、セルファの協力は難しい。
そこで、セルディオは自分の秘密を打ち明けたのだ。
作戦は見事成功を収めた。

と言うわけで、セルファが事情を知ったことを聞いたミトは、もう王宮を出歩いてセルファに会うのではないかとビクビクする必要がなくなり、せっせと王宮探検に繰り出すようになったのである。

そして、最近は王宮を飛び越え、街のさまざまな場所に行っている。
ついでに、ミトは街の様子をレポートにまとめて報告していた。
庶民目線で書かれている国民の様子や意見は、ローザンの政治に一役買っている。

「でも、日帰りで行ける範囲って限られてるのよね。もっともっと、色々な場所に行きたいな。
外泊許可って出せたわよね?とりあえず、今度はローザンの観光名所でもある、ルーザリンク教会に行ってみようと思うの」

ミトが行きたい場所には終わりがない。

「ローザンを飛び出しそうな勢いだな」

セルディオは苦笑する。

「さすがにそれはしないわよ。たまにはラミリアに里帰りしたいけど、結婚して1年未満で帰ったら叱られそうだし」

「チャンスがあれば、国外にも行きたいだろ」

「そりゃまぁ、ね」

「あるぜ。そのチャンス」

「え!なになに?どういうこと?」

セルディオの予想外な発言に、ミトは思いっきり食いついた。