(今回の件は、セルファを成長させたのかもしれない)
そう思ったが、自分は一国の王。
いくら我が子とは言え、簡単に決断を翻すわけにはいかない。
一方、セルディオは相変わらず公に出てこようとしない。
こちらも全くもって頑固な男だ。
シルフィは悩んだ。
何がローザンにとって最良の選択なのだろうか。
そして、最終的に自分が折れることにしたのである。
そうしなければ、ローザンを継ぐ者が直系からいなくなってしまう。
まるでセルファとセルディオ、二人に負けた気分だった。
(しかし、そう悪い気分ではない)
シルフィも二人が日々努力を積み重ねていることを知っている。
それでも、まだまだ足りぬ、まだまだ未熟とシルフィは思っていたが、どうやらそうでもないようだ。
セルファとセルディオは確実に成長している。
二人に国を任せれば、きっとローザンの未来は明るいだろう。
エイリーナも喜んだ。
彼女はセルファとセルディオを生んでから、ずっと我が子への引け目を感じていたのだ。
いろいろあったが、セルファとセルディオが元の関係に戻り、それぞれ自分の役割を懸命に果たそうとする姿を見て安心したのだろう。
セルファは4日間で、完全に体格も体調も元に戻し、公務に戻った。
そして、セルディオは影武者に戻ったのである。
その後、ユフィーリオは酷い悪阻で殆ど動けず、公務はティアラが手伝うことになった。
自分が一番に妊娠すると意気込んでいたティアラだが、今はすっかり公務を行う自分に満足しているようだ。
そして、アリアだが、彼女も妊娠したのだった。
アリアはまるでつきものが落ちたように穏やかになった。
側室の中で一番に妊娠できたことを誇りに思い、心に余裕ができたのだろう。
ローザンは今幸せムード満載である。
シルフィは皆の笑顔を見て満足した。



