大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

しばらくして、ようやくセルファが連れてこられた。
前回と同じく、左右に兵士が控えているが、今回は拘束されてはいなかった。

「セルファ…!」

ユフィーリオが立ち上がる。
セルファは虚ろな目でユフィーリオを眺めた。

会わなかったのは、たったの3日間。
その間にセルファは変わり果ててしまった。
目には生気がなく、頬は痩せこけている。

「何が…あったの…?」

ユフィーリオはやっとの思いで声を出した。

「ユフィ、今更何の用かな」

ボソリとセルファは呟いた。

「セルファ…?」

「僕があんなに戻ってきてほしいと言い続けたのに、君は来なかった。そのユフィが、なぜ今ここにいるんだ」

感情が欠落したかのような、淡々とした声だった。

「それは、あなたが大怪我をしたと聞いたから、心配になって…」

セルファは小さく笑った。

「本当に今更だよ、ユフィ。
僕が例え死んだとしても、そこにもう一人いるじゃないか。君はどちらでもいいんだろう?なぜ心配して駆けつける必要がある?」

「…!」

ユフィーリオはショックのあまり絶句した。

「僕はもうローザンの第一王位継承者じゃない。いや、それどころかセルファですらない。そこの男が」

そう言って、セルファはセルディオを指差した。

「今後僕となって、この国を治めていくらしい」

セルファはだらんと腕を下ろした。

「どういうこと…?お願い、何が起こったのか教えて、ねぇ、セルファ」

ユフィーリオはセルファに近づこうとした。

「来ないでくれないか」

セルファが拒絶する。