大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「あなたは…」

「ユフィーリオ様、私は影武者です」

「セルファ様！」

セイラムが抗議の声を上げる。

「ユフィーリオ様には知る権利があると思います」

セルディオは駆けつけたユフィーリオに賭けたいと思った。

「どういうことなの…？」

ユフィーリオは混乱するばかりだ。

「事情があり、この数日、私がセルファ様となって行動しています」

「え…？それは、怪我のせい？今日怪我をしたという話は、嘘なの？」

ユフィーリオはわけもわからず混乱して立ち尽くした。

「その話は、セルファ様本人にお聞きください」

「そんな勝手は許されません」

セイラムがもう一度制止した。

「セイラム、君もこのままで良いとは思っていないはずだ。だから、今日私の提案を受け入れ、躊躇なく医者を呼んだのではないのか？」

「それは…」

「それに、父上もこの部屋ならばユフィーリオ様とセルファ様が会うことを許可されたはず」

「それは曲解です」

「あの…セルファは今どうしているの？」

ユフィーリオは不安になった。
二人は一体何の話をしているのだろうか。

「セルファ様は３日前、ユフィーリオ様の部屋から戻られた後に左耳を切り落とす大怪我をされました」

「セルファ様！！」

ユフィーリオの質問に答えたセルディオを非難するセイラム。

「私はセルファではない」

「左耳を…切り落とす…？」

あまりの事実にユフィーリオはショックを受けた。