大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

セルディオはあれからずっとセルファの部屋で過ごしていた。監禁状態である。
セイラムは何も言わず、隣に控えていた。
食事の世話などは侍女が行ってくれた。

昼食を済ませると特にすることもなく、セルディオはベッドに横になりウトウトとしていた。
こんなに何もしない日など、未だかつてあっただろうか。

しばらくすると、ドアがノックされる。
セイラムが対応するためドアを開けた。

「ユフィーリオ様」

その声に、セルディオの意識が覚醒する。

「セルファが大怪我をしたと聞いて、いてもたってもいられず駆けつけました」

ユフィーリオの声が聞こえてくる。

「はい…、いえ、少々お待ちください」

対処に困るセイラム。

「セイラム、通すんだ」

セルディオは体を起こし、セイラムにそう言った。

「セルファ…!大丈夫なの?」

セルディオの姿を見て驚くユフィーリオ。
ユフィーリオはセイラムの横をすり抜け、ベッドに駆け寄った。

「セイラム、誰も入らないように、そこで見張りをしているように」

「しかし、セルファ様」

「頼む」

セルディオはセイラムに頭を下げた。
その姿を見て、ユフィーリオは益々驚いた。
王位継承者であるセルファが家臣に頭を下げるはずがない。