「それでも、私はもう動きません」
「許さん」
「ええ。許していただかなくて結構です。
ただ、今から私は使い物にならなくなりました。もう、セルファ様を呼ぶ以外、あなたに選択肢はありません」
シルフィはセルディオの本気を感じた。
権力で黙らせるのは無理と判断し、今度はストレートに脅すことにする。
「おまえはこの先一生幽閉生活を送ることになる。それでもいいのか」
「良いはずがありません」
セルディオも震えを必死で堪えていた。
「先ほど、死にたくないと申し上げました。それは、死の苦痛が恐怖と言うわけではありません。死ぬことで、会いたい人に会えなくなることが恐いからです。
幽閉されては、その人に会えなくなります」
「ほう、おまえにそんな存在がいるというのか。誰だ。言ってみるが良い」
シルフィの声音が優しくなった。
セルディオの弱点を握るチャンスだ。
しかし、セルディオはその策略にはひっかからない。
「言えるはずありません。私が勝手に想い続けているだけですから。それに、父上にその人を利用されたくありません」
「私を侮辱する気か」
「いいえ、とんでもございません。シルフィ様は愛情深いお方。だから、お願いでございます」
影はベッドから下り、膝をついた。
「どうか、セルファ様を、兄を戻してください。父上…!」
セルディオは頭を下げた。
このまま切り捨てられるかもしれないという恐怖心と戦いながら。
シルフィは暫く床に這い蹲るセルディオを睨んでいたが…。
「考えておこう」
そう言って背を向けた。
「セイラム、この男が逃亡や自害をしないよう、監視をするように」
そして、シルフィは部屋を出て行った。
扉が閉まる音を聞いて、セルディオは深く息を吐く。
動悸が激しく、嫌な汗が流れていた。
恐かった。
今も恐い。
シルフィを本気で怒らせただろう。
今後、自分がどうなるのかわからない。
ほんの数カ月前の自分は死など全く恐くなかったのに、今はただ恐怖だった。
ミトに会えなくなることが恐かった。
昨夜、ミトは自分を抱きしめてくれた。
慣れていないミトはぎこちなく、ときには少し痛みを感じていたようだが、自分を受け入れてくれたのだ。
今までとは全然違うミトの表情をセルディオは思い出した。
自分を見つけてくれたミト。
まだセイラムに気持ちがあるのに、手を差し伸べてくれたミト。
ミトとずっと一緒にいたい、ミトと生きていきたい。
セルディオは強くそう思った。
「許さん」
「ええ。許していただかなくて結構です。
ただ、今から私は使い物にならなくなりました。もう、セルファ様を呼ぶ以外、あなたに選択肢はありません」
シルフィはセルディオの本気を感じた。
権力で黙らせるのは無理と判断し、今度はストレートに脅すことにする。
「おまえはこの先一生幽閉生活を送ることになる。それでもいいのか」
「良いはずがありません」
セルディオも震えを必死で堪えていた。
「先ほど、死にたくないと申し上げました。それは、死の苦痛が恐怖と言うわけではありません。死ぬことで、会いたい人に会えなくなることが恐いからです。
幽閉されては、その人に会えなくなります」
「ほう、おまえにそんな存在がいるというのか。誰だ。言ってみるが良い」
シルフィの声音が優しくなった。
セルディオの弱点を握るチャンスだ。
しかし、セルディオはその策略にはひっかからない。
「言えるはずありません。私が勝手に想い続けているだけですから。それに、父上にその人を利用されたくありません」
「私を侮辱する気か」
「いいえ、とんでもございません。シルフィ様は愛情深いお方。だから、お願いでございます」
影はベッドから下り、膝をついた。
「どうか、セルファ様を、兄を戻してください。父上…!」
セルディオは頭を下げた。
このまま切り捨てられるかもしれないという恐怖心と戦いながら。
シルフィは暫く床に這い蹲るセルディオを睨んでいたが…。
「考えておこう」
そう言って背を向けた。
「セイラム、この男が逃亡や自害をしないよう、監視をするように」
そして、シルフィは部屋を出て行った。
扉が閉まる音を聞いて、セルディオは深く息を吐く。
動悸が激しく、嫌な汗が流れていた。
恐かった。
今も恐い。
シルフィを本気で怒らせただろう。
今後、自分がどうなるのかわからない。
ほんの数カ月前の自分は死など全く恐くなかったのに、今はただ恐怖だった。
ミトに会えなくなることが恐かった。
昨夜、ミトは自分を抱きしめてくれた。
慣れていないミトはぎこちなく、ときには少し痛みを感じていたようだが、自分を受け入れてくれたのだ。
今までとは全然違うミトの表情をセルディオは思い出した。
自分を見つけてくれたミト。
まだセイラムに気持ちがあるのに、手を差し伸べてくれたミト。
ミトとずっと一緒にいたい、ミトと生きていきたい。
セルディオは強くそう思った。



