大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「待って」

ミトは思わずセルディオに手を伸ばす。
これは同情なのだろうか?

「なんだか良くわからないけど、いいよ」

ミトは思い出していた。
あの夜、セイラムに失恋して自分のことだけで頭がいっぱいだったけど、セルディオは確かに言っていた。

優しくする。
大事にする。
だからオレを受け入れてくれ。

一体セルディオはどんな気持ちでそう言っていたのだろう。
それなのに、自分はなんて酷いことをしてしまったんだろうか。

セルディオは怯えたような瞳でミトを見つめていた。

「私ね、本当にセルディオにはたくさん助けてもらったなって思うの。
良くわからないけど、今、すごく大変なときなんでしょう?だから、私もセルディオを助けてあげたい。支えてあげたいって思うよ。
それが、その…、そういうことでセルディオが少しでも元気になれるなら、いいよ」

ミトはセルディオを抱きしめた。

「ミト…」

「受け入れてあげる。
それに、人の気持ちって変わることもあるみたいだし。もしかしたら、私がセルディオを好きになる日がくるかもしれないよ?今は、まだ、だけど」

セルディオはギュッとミトを抱きしめた。

「ごめんね。私、ずっと自分のことばかりだったね。もっと早く気付けたら良かったのに」

ミトはよしよしとセルディオの背中を優しくなでた。

「いいんだ。ありがとう、ミト…」

セルディオが腕の力を緩めると、ミトが自分を見上げた。
優しく微笑んでくれるミト。

セルディオは恐る恐る顔を近づける。
ミトは目を閉じた。
そして二人は唇を重ねた。