大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「オレは、ミトが、好きだ」

まっすぐ目を見てもう一度セルディオは言った。

「え…っと…」

さすがにその意味を理解するミト。
カーッと頭に血が上る。
顔を真っ赤にして、何か言おうとして何も言えずにアワアワしているミトを見て、セルディオは少し満足した。

「好きな男以外に触れられるのは、嫌か?」

セルディオは顔を近づけた。

「いや!えっと、そりゃ」

「キスしてもいいか?」

「はい!?いや、ちょっと待って」

セルディオはギリギリまで近づいて、そして離れた。

「やっぱり、オレを好きになったりなんかはしねーか」

もう絶対に無理矢理なことはしたくない。
だけど…。

「あの…」

ミトは何と答えれば良いのかわからない。

「それでもいい。それでもいいから、オレを受け入れてくれないか?」

「あ…」

セルディオは今にも泣きそうな顔をしている。
ミトにはそう見えた。

「何かあった?ねえ、私じゃ話してくれない?」

「まぁ、色々あるんだよ。ちょっと挫けそうになるくらいのことが。
オレだって、人生に1回くらいは、誰かに甘えたくなるものなんだな。やるべきことは、自分ひとりでやるしかねーんだけどさ」

「やっぱり、私じゃ言えないの?」

こんなに辛そうなセルディオを見るのは初めてで、ミトは胸が痛んだ。
いつだって淡々と役目をこなしていたのに。
何があったんだろう。
自分が力になれることはないのだろうか。

「下手に話すと、ミトを巻き込むかもしれねーからな」

セルディオは肩を竦めた。

「けど、好きな女と肌を触れ合えたら、ミトがオレを受け入れてくれたら、決心もつくんじゃねーかと思ったんだけど、やっぱ無理か…」

セルディオは自分の甘えを断ち切ろうと努力する。

「自分のことだしな。自分でやるしかねーよな。甘えたこと言って悪かったよ」

セルディオは立ち上がり、ミトの側を離れようとした。