大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

扉が閉まる音が聞こえると、ユフィーリオは絶望した。
すぐに侍女たちが部屋に入ってきた。
影が具合が悪いとでも伝えたのだろう。

「ユフィーリオ様!?」

慌てて駆け寄ってくる。

「大丈夫ですか?」

「今、ベッドにお運びいたします」

侍女二人がかりでユフィーリオは抱えられ、ベッドに横たわった。
悲しくて辛くて、もう誰でもいいから抱きしめてほしかった。

「医師を呼んでまいります」

「やめて、いいの、大丈夫よ」

「そんなことおっしゃって、今までもずっと医師を呼ばずに来ましたが、良くなるどころか悪化しているではありませんか!」

「お願い、一人にして」

「そんなことできるはずございません!とにかく医師を」

「休めば良くなるわ」

「いいえ、いけません」

押し問答が続き、ユフィーリオは言葉を発する気力も失った。
もし、自分に病気があったら、公務から外されるかもしれない。
そうしたら、会えなくなる。
それが嫌でずっと拒否していたのに。

(結局、私を愛してくれる人なんて、いないんだわ…)

「う…」

耐えられない吐き気が襲ってきた。
ユフィーリオは起き上がることもできず、そのままベッドに嘔吐した。
体調は最悪、気持ちは最低だった。