「ユフィーリオ様、申し訳ございません」
影は苛立ちを隠し、ユフィーリオを諭すことに専念する。
「仲睦まじいお二人がすれ違う原因を作ったのは私でございます。私が病に倒れなければ、ずっとお二人は心通じ合ったままでいられたのでしょう。
セルファ様を愛するユフィーリオ様が、側室の元へ行くセルファ様に不安を覚えるのは当然のこと。もちろんセルファ様はユフィーリオ様だけを愛しておられます。それでも、ローザンのため、側室の元へ向かうしかなかったのです。
全ては、あのとき影武者としての役割を果たせなかった私の責任でございます」
影は自分の胸に回されたユフィーリオの手をとり、自分から離そうとした。
しかし、ギュッとしがみつかれて、簡単には離してくれないようだ。
「許していただくためならば、なんでも致します。ですから、セルファ様の気持ちを疑うなど、なさらないでください」
「なんでもするの?」
ユフィーリオの腕の力が緩んだ。
その隙を逃さず、影はサッとユフィーリオから離れる。
振り向くと、涙でくしゃくしゃになったユフィーリオが立ち尽くしていた。
「ええ。ですから」
影が言いかけるのも構わず、ユフィーリオは影に抱きつき唇を重ねた。
影は反射的に振り払う。
ユフィーリオはよろけて床に手をついた。
「…申し訳ありません」
ユフィーリオを振り払うなど、影にしてみれば大失態だ。
謝罪こそできたが、それでもユフィーリオに手を差し伸べる気にはなれなかった。
「どうして?何でもするって言ったじゃない!」
(冷静になれ)
影は役目を放り出してしまいそうになる自分を必死に叱咤した。
影は苛立ちを隠し、ユフィーリオを諭すことに専念する。
「仲睦まじいお二人がすれ違う原因を作ったのは私でございます。私が病に倒れなければ、ずっとお二人は心通じ合ったままでいられたのでしょう。
セルファ様を愛するユフィーリオ様が、側室の元へ行くセルファ様に不安を覚えるのは当然のこと。もちろんセルファ様はユフィーリオ様だけを愛しておられます。それでも、ローザンのため、側室の元へ向かうしかなかったのです。
全ては、あのとき影武者としての役割を果たせなかった私の責任でございます」
影は自分の胸に回されたユフィーリオの手をとり、自分から離そうとした。
しかし、ギュッとしがみつかれて、簡単には離してくれないようだ。
「許していただくためならば、なんでも致します。ですから、セルファ様の気持ちを疑うなど、なさらないでください」
「なんでもするの?」
ユフィーリオの腕の力が緩んだ。
その隙を逃さず、影はサッとユフィーリオから離れる。
振り向くと、涙でくしゃくしゃになったユフィーリオが立ち尽くしていた。
「ええ。ですから」
影が言いかけるのも構わず、ユフィーリオは影に抱きつき唇を重ねた。
影は反射的に振り払う。
ユフィーリオはよろけて床に手をついた。
「…申し訳ありません」
ユフィーリオを振り払うなど、影にしてみれば大失態だ。
謝罪こそできたが、それでもユフィーリオに手を差し伸べる気にはなれなかった。
「どうして?何でもするって言ったじゃない!」
(冷静になれ)
影は役目を放り出してしまいそうになる自分を必死に叱咤した。



