大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「セルファの行動と外見の変化。これは第一王位継承者としては不適格なものだ」

影はセルファを見た。
セルファは俯いていて、その表情は良く見えない。
だけど、握り締めた拳が震えていた。

「国を守るためには、如何なるものも犠牲にして、何時でも冷静に国を優先させなければならない。どうやらセルファには荷が重いようだ」

国王は何を言おうとしているのか。
影はその先を聞くことに恐怖した。

「セルディオ、私はずっと君の行動を見てきた。私の後を継いでローザンを守るのは、君にこそ相応しい」

「セルディオ…?」

誰のことだ、それは。
心臓が早鐘を打つ。
嫌な汗が噴出した。

「セルディオ、これからはおまえがセルファとなり、この国を支えて行くのだ」

急に喉がカラカラに渇く。
声を出そうとしても、なかなか出てこない。

「セルファ、おまえも王族として、今度は自分が何をすれば良いのかわかるだろう。潔く退くことだ。
残念なことだが、二人の外見には致命的な差ができてしまった。しかし、セルディオに何かあったときのために、今度はおまえが影武者となるのだ。一生表に出ることはないかもしれない。それでも、それに備えるのがお前の役目だ。わかるな」

「く…、うう…」

セルファは歯を食いしばっていた。
しかし、耐え切れず、涙が頬を伝う。
立っている気力を失い、セルファは床にうずくまった。