大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「ユフィーリオ様、どこかお加減悪いんですか?」

来賓の一人がユフィーリオの辛そうな表情に気付いた。

「いえ、なんでもありませんわ」

慌てて笑顔を作る。
そんな自分を影武者が心配そうに見た。
「私は大丈夫」という意味を込めてユフィーリオは影武者を見つめ返す。

「申し訳ありません。実は、ユフィーリオは昨夜から体調を崩しているのです」

しかし、影武者はそう言った。

「いえ、大丈夫です」

ユフィーリオは驚きつつもそう言った。
大切な来賓に失礼があってはならない。

「無理をしてはいけないよ」

影武者はユフィーリオを優しく諭してから、来賓に向き合った。

「アズノール様、申し訳ございません。万全ではない体調でお迎えしてしまい、大変失礼致しました」

そして、深く頭を下げた。

「ユフィーリオがどうしてもアズノール様にご挨拶したいと申し、それを許してしまいました。私の判断ミスでございます」

頭を下げたまま続ける影。
これには来賓のアズノールも恐縮するしかなかった。

「セルファ様、どうか顔をあげてください」

椅子から立ち上がり、それでもセルファより頭が高くならないよう中腰になる。

「ユフィーリオ様の気持ち、嬉しく光栄に思います。確かにその気持ちは受け取りました。どうか、無理なさらず、今日はお休みになられてください」

「アズノール様…」

ユフィーリオはどうして良いかわからなかった。

「本当に申し訳ございません。ユフィーリオ、これ以上ご迷惑をかけるわけにはいかない。今日は部屋に戻ったほうがいい」

オロオロするユフィーリオに、影武者はそう言った。

「ええ、それがいいと思います」

アズノールも頷く。

「ありがとうございます」

丁寧に礼を言う影武者。