大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「セルファ様!」

真っ青になってセイラムは駆け寄った。

「許さない!許さないぞ!!!」

血だらけになりながら、それでもセルファは影に襲い掛かろうとする。

「バカか!止血しねーと!」

「黙れ!」

「落ち着いてください!」

セイラムがセルファを後ろから羽交い絞めにする。
影は手近にあったシーツをセルファの耳に押し当てた。

「触るな!」

「セイラム、早く医者を呼ぶんだ」

影はセルファに構わずそう言った。
難しい表情のセイラム。

「あ…、そうか、オレ…、いや、私がいたら呼ぶものも呼べないな…。とりあえず部屋に戻ります」

「逃がさないぞ!これも狙い通りなんだろう!」

取り乱したセルファを無視して立ち上がる影。

「いえ、あなたはここに」

しかし、意外なことを言うセイラム。

「セルファ様はあなたの担当医師に診てもらいます。すぐに人を呼んで、部屋も片付けさせます。あなたはセルファ様として、ここに留まってください」

「どういうつもりだ!セイラム!!」

そう叫んだのはセルファだ。

「セルファ様、動かないでください。このような惨事を周知するわけには参りません。とりあえず、人目につかない場所へ移動し、まずは怪我の治療を致しましょう」

「ふざけるな!」

セルファは暴れた。
セイラムは腕を片方緩め、セルファの首に手刀を入れ、失神させた。

「おいおい…」

思わず地が出てしまう影。