大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「自分のことも最近わからないの。私が好きなのは誰なのか…。
セルファのことが好きよ。でも、目の前のあなたがもし影武者だったら？
わからないの。今までだって、入れ替わっていることに気付かず、影武者と過ごしていたかもしれない。私が好きなのはセルファだけのはずなのに。
じゃあ、私はどちらでもいいの？そう考えたら、わからなくなったの」

「何てことを言うんだ！僕が君を他の男に触れさせるはずがないじゃないか！
いつだってユフィだけの僕でいた。今もそうだ」

「でも、側室のところへ行ったじゃない…」

「それは、仕方ないだろう！そういう決まりなんだ。あの男が動けないなら、僕が動くしかないだろう。他にどんな手があるんだ！？」

ユフィーリオは側室と過ごした自分をどうしても許せないのか。
だとしたら、自分はどうすれば良いのだ。
セルファはユフィーリオにも怒りを感じた。

「それは頭で理解しているんだけど、それでも辛かった。死にたくなるくらい辛かった…。あなたが他の人と夜を過ごしていると思うと、苦しくておかしくなってしまいそうだったの」

顔を覆ってユフィーリオは泣いた。

「僕にどうしろって言うんだ」

「あのとき、何でもいいから理由をつけて側室の所になんて行かないでほしかった。どんなときも、私だけのセルファでほしかったの！」

ついにユフィーリオは叫んだ！

「そんなことできるはずないだろう！」

セルファも負けじと叫ぶ。

「僕は、ローザンの第一王位継承者だ。側室を無碍にするのは、その国との国交に悪影響を与えることに成りかねないんだよ。
そんなことはユフィだってわかっているはずだ」

「そうだけど…！」

「どうして信じてくれない？」

「信じられるわけないじゃない！あなたはもう一人いるんだから！！！」

後は嗚咽になった。
セルファはもう何を言えば良いのかわからない。