大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「結局その通り。どうしようったって、ミトの気持ちは変えられないんだからな。オレがオレだろうがセルファだろうが」

我ながら、馬鹿な選択をしたと影は思う。

「あんたがセイラムを好きだと知って、本当に驚いた。
一体いつから?どこであいつを好きになる機会なんかあったんだ?」

いきなり質問され、ミトはたじろいだ。
そんなことを聞かれても、答えられるはずがない。
自分の気持ちを自覚した瞬間、失恋したようなものなのだから。

「ま、言いたくないなら言わなくてもいいけど」

影は無理に聞き出す気はなかった。

「そういうわけじゃないけど…、うまく言えないのよ。いつ好きになったかなんて、わかるものなの?気付いたら、そうだったって感じ。
じゃぁ、なんで気付いたかって言ったら…」

ミトは言葉を探した。
どう言えば適切だろう。

「…あなたがきっかけ、みたいなもの…かな…」

「はぁ!?オレ?」

影は思わず自分を指差した。
全く身に覚えがない。

「あなたが色々言うから、その言葉で思い浮かんだのが、セイラム様だったのよ。それで、自分の気持ちがやっと自覚できたって言うか何と言うか…」

「オレが何を言ったって言うんだよ」

「あなたが私に『好きな人がいるのか?』ってストレートに聞いてきたんじゃない」

「そんなこと言ったか?」

「言ったわよ。忘れたの?呆れた」

あのときの影は必死過ぎて、何を言ったかほとんど覚えていなかった。
これは影にしては珍しいことだった。
それだけ、ミトに心奪われていたのだろう。