大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「この前は、悪かった…」

影は苦々しい気持ちで謝罪した。

「え?だから、何が?」

いきなり頭を下げられて、ミトは慌てた。

「何がって、あんなに泣いてただろ。待ってやるべきだったと後悔した」

「ああ…」

ミトは曖昧に言葉を濁す。

「体は大丈夫か?」

「うん」

「この4日間、どう過ごしていた?ほとんどど部屋に篭っていたと聞いてるが、体調を崩していないか?」

影はミトが心配でたまらない。

「それは大丈夫」

「オレが…、オレのことが嫌になったか…?」

影の声が急に弱々しくなる。

「え?どうして?」

いきなりそんなことを聞かれて、ミトは驚いた。

「好きな男がいるのに、別の男に触れられるのは嫌だったろう?」

何と答えて良いのかわからないミト。

「すまなかった…」

影はうなだれるようにうつむいて謝罪した。

「ううん、あなたは何も悪くない」

しばらくの沈黙の後、ミトはそう言った。

「私がわがままだっただけ」

影は顔を上げてミトを見た。
泣きそうな笑顔だった。

「あなたは自分の責務を果たそうとしただけでしょ?
私も最初からここに来た義務を果たすべきだったんだわ。あなたがセルファじゃなくても」

「ミト…?」

「片思いでもいいなんて、ホント、恋心を知らないから言えた戯言だった」

ミトは涙をぐっとこらえた。
今まで誰かに聞いてほしくて、でも誰にも言えなかった自分の気持ちが、するすると口から言葉になって溢れてくる。