大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

(あれ?なんか、落ち込んでる…?)

影の様子を不思議に思ったミト。
二人で立ち尽くすのは不自然なので、ミトは影を部屋に招きいれた。

「さぁ、お入りくださいませ」

笑顔で影の手を引く。

「ありがとう」

影はそう言い、部屋に入った。
部屋に入ったものの、影はどうして良いのかわからなくなった。
とりあえず、やっとミトの顔を見ることができた。
作り笑いができる程度には元気があるようで、影は少しだけホッとする。

「今、お茶を入れるね」

ミトはいそいそと水場に引っ込む。

「そんなことはいい」

「そういうわけにもいかないわ」

ミトは準備を始めた。
影は仕方なくソファに座り、ミトの後姿を眺めていた。

あんなに泣いていたのに、大丈夫なんだろうか。
結局ミトは諦めるかたちで自分を受け入れた。
もしかしたら、自分を恨んでかもしれない。
思考はどんどんネガティブになる。

ミトが振り向いた。
準備が終わったようだ。
影は、急に臆病な気持ちになって、目を逸らした。

「どうぞ」

静かにお茶をテーブルに置くミト。

「…ミト、大丈夫か?」

目を逸らしたまま聞く影。

「え?何が?」

ミトはとぼけた。
影は勇気を出してミトの顔を正面から見る。
だけど、その表情から気持ちは読み取れなかった。

「とりあえず、座れよ」

そう言わないと、遠くに行ってしまいそうに感じた。

「ええ…」

ミトは大人しく応じて影の向かいに座った。