大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

(なんだ、ミトをライバル視でもしているのか?)

そう思ったら、少し余裕が生まれたセルファだ。
ユフィーリオの行動が理解できなかったが、嫉妬からミトの真似をしただけだと考えたら、すとんと納得できた。
ユフィーリオがそんなことで自分を困らせようとしているなら、むしろ可愛いとすら感じる。

「まぁいい」

セルファは上機嫌になった。

「今夜は君の日だ。夜にゆっくり話そう。僕の部屋に戻ってくるだろう?」

セルファは当然のように言う。

「いいえ、しばらく別邸にいることにしたの…」

しかし、返ってきた答えは予想に反していた。

(拗ねているのか?)

その言葉は飲み込んで、セルファは「わかった」と短く答えた。
もう仕事の時間だ。
今夜、改めて聞けば良い。

そしてその夜、セルファは久しぶりに早々に公務を切り上げ、別邸にあるユフィーリオの部屋に訪れた。

「会いたかったよ、ユフィ」

甘い言葉を囁いたが、ユフィーリオの顔色はすぐれない。
無言で部屋に迎え入れられた。
扉を閉めるや否や、セルファはユフィーリオを抱きしめた。

「せ、セルファ…」

いきなりの行動に驚き戸惑うユフィーリオ。

「ちょっと待って…」

「どうして?」

そう問いかけたが、セルファは答えを待たずにユフィーリオにキスをした。

「ねぇ…お願い、待って」

セルファが唇を離した瞬間を逃さずユフィーリオはそう訴えたが、無駄な足掻きだった。

「待てるはずがない…」

セルファの熱の篭った視線を受け、結局黙り込んでしまうユフィーリオ。
それを見逃さず、セルファはユフィーリオごとベッドに倒れこんだ。