大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

その日の夕食は部屋でとることにした。
側室達の顔を見たくなかったのだ。
影と通じ合っている側室達。
もちろん、側室達は影の存在など知らないのだから、セルファとして接しているのだが。

でも、自分が心奪われた影と側室達が夜を一緒に過ごしていることを、ユフィーリオは認めたくなかった。
嫉妬に狂ってしまいそうだった。
夜も更けると、ユフィーリオはより一層落ち着かない気分になる。

(そろそろ影武者が別邸に来て、そして、側室と会うんだわ…)

本当は部屋から出て待ち構えたかった。
影を掴まえて、色々聞きたかった。
側室の部屋に行くのを阻止したかった。

自分が愛しているのはセルファだけ、そう思い込もうとしても、既に気持ちは大きく影に傾いていた。
上辺だけの優しさで体だけを求めてくる最近のセルファよりも、ずっと影の方が紳士的のようにさえ思えた。

(影武者はセルファに命令されて側室と通じているだけ)

彼の気持ちは側室になど向いていない。

(だから、私だけを見て…!)

考えて考えてわからなくなって、そして最終的に出た答えがこれだった。

(側室に会わないで!触れないで!)

ユフィーリオは苦しくてたまらない。
セルファがいる限り、自分は影と夜過ごすことがないのだから。