大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

ユフィーリオは以前のセルファに思いを馳せた。
セルファは覚えていないと言うが、ユフィーリオが初めてセルファと出会ったのは12歳の時。
父親にここへ連れてこられたが、はぐれて迷ってしまい、歩き回っている内に辿り着いた中庭のような場所。
いつの間にか人気のないところに迷い込んで不安だったユフィーリオが見たのは、日の光にキラキラと輝いて神々しいほど美しい少年のセルファだった。

(そう言えば、あの場所は一体どこだったの…?)

セルファと結婚し、忙しくも幸せな毎日を過ごしていたユフィーリオは、今までそんなこと思いもしなかった。
広大な王宮には、ユフィーリオがまだ行ったことのない場所も多々ある。

(あの場所を探してみようかしら…)

今日ユフィーリオが行う公務は、昼の会食2時間程度だ。
来賓をセルファと一緒に出迎える。
セルファは相変わらず四六時中忙しい。
しかし、ユフィーリオが王宮に戻ってからは、セルファが彼女の体を気遣って公務の時間を減らしていた。

(今日の公務が終わったら、王宮を散策してみよう)

ミトもしていることだ。
別に自分がしても構わないはず。
あの場所に行けたら、またセルファと前のように幸せな時間を過ごせるような気がした。