大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

いつもの朝。
ミトはエイナに起こされ、いきなり説教をされた。

クドクドクドクド…。

エイナの説教は慣れっこのミトだが、今日は聞いている振りをするのさえしんどかった。

「ごめんなさい、もうあんなこと絶対しないから。それより、ちょっと気分が悪いの。もう少し眠らせて」

「え!?」

そこで初めてエイナは気付く。
ミトの顔色が酷く悪いことを。

「大丈夫ですか?ミト様。気付かず申し訳ありませんでした。ささ、早く横になって下さいませ」

ありがたくそうさせてもらうミト。

「まずは熱を測りましょう。それから、お医者様を呼ばなければ」

「大丈夫、熱なんてないわ。なんだか疲れちゃっただけ。今日1日、ゆっくり横になっていればきっと大丈夫よ」

「そうおっしゃいますが、こじらせてはいけません」

「お願い、一人にして…」

ミトは頭から布団をかぶった。

「ミト様…」

昨日セルファとの間になにかあったのだろう。
今は詮索しない方が良いと判断したエイナは、大人しく引き下がることにした。

「何かお飲み物を用意致しますね。温かい物と冷たい物、どちらがよろしいでしょうか?」

「じゃあ、何か冷たい果汁をちょうだい」

「かしこまりました。では一度失礼致します」

そしてエイナは退室した。

(やっと一人になれた…)

ミトはホッとする。
体はひどく疲れているが、頭は冴えていた。

ミトは昨夜のことを思い出す。
昨日、影はどこまでも優しかった。
それは意外なような、でも、影の人格を表しているのかもしれないと思った。

真面目で努力家で、それでいて繊細な影。
ミトは影という人格は嫌いではなかった。
容姿も綺麗だし、異性としての嫌悪感はない。
割り切ってしまえば、夜の行為はそこまで苦痛ではなかった。
だけど、心には大きな穴が開いている。