大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

(何事!?)

影が全体重を自分に預けてくる。

「ふぬぬぬー!」

ミトが思い切り体ごと顔をそむけた。
ようやく影のキスから開放される。

「はぁっ、はぁ…、なんなのよ!っていうか、どいて!」

「どくかよ。このまま、今夜は最後までするからな」

「うそっ!」

ギョッとするミト。

「取引はどうなるの!?」

猛抗議だ。

「状況が変わったんだよ。バレるわけにはいかねーだろ。とりあえず、1回はやっとかないとな。側室が処女なんて、おかしすぎるだろ」

「まだ10ヶ月経ってないわ!」

めげずにミトは抗議する。

「10ヶ月も待てねーよ。こっちは、いつセルファの気が変わるか冷や冷やしてるんだ。
それに、どうせいずれはすることだろ。数ヵ月後か、今日かってだけで、やることは変わらねー」

珍しく影は焦りを隠さない。

「でも…」

ミトは泣きたくなった。

「おまえさ、もし本当に好きな男ができたら、そのときはもっと辛いと思うぜ」

「え?」

「好きな男がいるのに、別の男に抱かれるの、耐えられんのか?」

「だ、大丈夫よ、義務だもん」

と言ってみたけど、そんなことミトにわかるはずがない。
ミトは初恋もまだなのだから。

「大丈夫だっつーんなら、今でも大丈夫だろ」

影はミトに頬に手を添えた。

「なんでそうなるのよ!」

ミトは抵抗を諦めない。

「まだ好きな男はいないんだろ?」

「え…?」

その質問に、なぜかミトの脳裏にセイラムの顔が過ぎる。

「……いるのか?」

影はミトの一瞬の戸惑いを見逃さなかった。