大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「オレが復帰したからって、事態が好転したわけじゃねーんだぜ。
セルファがもし、側室の相手を自分がすると言い出したら、オレは退くしかないんだ。もしかしたら明日、そう言い出すかもしれない」

影がとんでもないことを言い出した。

「え…でも、セルファはユフィーリオ様一筋なんでしょう?だから、あなたがここへ来てるんでしょ?」

戸惑いながら、ミトは影の向かいに座る。

「今までは、な。でもこれからはわかんねー。なんの保証もない」

「なんでそんなこと急に言い出すの?セルファが側室の時間を拒んでいると言ったのはあなたよ」

影の言うことが突然変わり、ミトは納得できない。

「そりゃ、今回かなりヤバかったからに決まってるだろ。オレとお前の関係がバレたら、オレもおまえも相当ヤバいんだからな」

全くの正論である。

「でも、なんとかなったじゃない」

ミトは目を逸らした。
追求されたら、ミトは弁解できない。

「おまえなぁ…」

影は片手で顔を覆った。
ミトのいい加減さには呆れてしまう。
しかし、そんなことはどうでもいい。

「ま、いいや。とりあえず」

影はそう言って立ち上がった。

「どうしたの?」

ミトは影を見上げる。
影はミトに近づき、腕を掴んで立ち上がらせた。

「な、なに?」

グイっとミトを引き寄せ、いきなりキスをする影。

「!」

ミトは反射的に逃げようとしたが、後頭部と腰をしっかり掴まれ、逃げるどころか体がピタリと密着してしまう。
影はパニックのミトをそのままベッドへ押し倒した。