大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

でも、どうしてだろう。
ユフィーリオの気持ちは全く満たされない。
むしろ、より一層不安になった。
まるで、これ以上問題をややこしくするなとあしらわれているような錯覚さえ覚えた。

「ねぇ…、影武者はいつ病気が治るの?」

ベッドの中で素肌を密着させ、ユフィーリオは聞いた。

「そうだな…、いつだろうね」

「まだ良くなっていないの?」

「そういうわけじゃないけれど、病気が治ったからと言って、すぐに復帰できるものじゃないんだよ」

「どうして?」

「病気で随分と痩せてしまったんだ。以前のように僕と全く同じ体型に戻るまでは、影武者として表に出るのは無理だろうね」

「それってあとどのくらいで戻るの?」

「さぁ…」

(どうして私たちが一緒にいるために必要な人なのに、そんなに無関心なの?)

ユフィーリオはその言葉を飲み込んだ。
せっかく穏やかなセルファが、また不機嫌になってしまいそうだったからだ。
セルファはおとなしくなったユフィーリオに満足しているようだ。
結局、ユフィーリオはその後何ひとつ自分の本音を口にできなかった。