「嬉しくないのかな?」
(はっ!ここは喜ぶ場面!?)
「ありがとうございます。嬉しいです」
そう言って、やっとミトがセルファを見た瞬間、ぐっと肩を抱かれ、引き寄せられ、そしてキスをされてしまった。
どんなにそっくりでも、ミトにとってセルファと影は全くの別人である。
もちろん、影とのキスが慣れたわけじゃないのだが、セルファからの強引なキスに体を強張らせた。
セルファはそれに気付いたのか、すぐに唇を離した。
ホッとしたのは本当に一瞬。
「ミト…」
囁かれ、至近距離で見つめられ、そしてもう一度キス。
今度は優しく、そして長く。
(私はセルファに惚れてるって設定なのよ!身を委ねるのよミト!!!)
自分に気合を入れるミト。
気合を入れると体に力も入っちゃったりして。
頭の中は「早く終わってー!」これしかない。
そんなミトの心境などセルファは知る由もない。
ミトはひたすら耐えた。
長い長い、そして深いキスに、頭がおかしくなりそうだった。
ようやく開放されたとき、ミトは心底ホッとした。
「最後までできなくて残念です」
セルファの意地悪そうな笑み。
(ああ、やっぱり血の繋がった双子なんだな…)
朦朧とする頭でミトはそんなことを思った。
そして、影の復活を強く強く願うのだった。



