大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「私が帰国してから王宮には来ていないみたいだね。どうしてかな」

「え!?」

「それまでは毎日のように王宮見学をしては楽しく過ごしていたとセイラムから聞いているよ」

「ええ。楽しかったです。とっても」

「まだミトがローザンに来て間もない頃、一度王宮の図書館でバッタリ会ったこともあったね」

「そんなことも、ありましたね」

ミトはミルクティに手を伸ばした。
セルファから視線を外して、それをコクコクと飲む。
さっきの明るい顔から、また固い表情に戻ったミト。
何か失言したのだろうか。

「ここ数日は別邸にずっといるようだけど、もう王宮探検はいいのかな?」

「はい。いえっ、また機会を見て、見学に行きたいとは思っています」

「機会とは?いつでも来ていいんだよ。すぐに取り計らうから、いつでも申し付けるといい」

「ありがとうございます…」

と言いつつ、ミトは相変わらず目を合わせてくれない。

(なんなんだ?)

セルファは面白くない。

今までセルファは側室たちとほとんど交流がなかった。
夜は影の担当で、昼に会う機会は非常に限られている。
最初に入国したティアラでさえ、初日以外は数える程度しか会話をしていない。

しかし、影の病で自分が側室たちと夜を過ごすことになる。
影から毎日詳細は聞いていたし、イメージを共通させる作業は怠っていなかったが、やはり耳で聞くだけと、実際に肌を触れ合わせるのは違った。
まだ2回ずつしか夜を共にしていないが、今までよりずっと側室たちを理解できたような気がしていた。
同時に、今まで興味もなかった側室達に、人として、女性としてわずかながらに興味が湧いている。