大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「そうかな?だとしたら、僕は未熟者だな」

「どうしてですか?」

ミトには一体何が未熟なのかさっぱりわからない。

「例え疲れていたとしても、それを顔に出さないのが王族というものだよ」

「そんなものですか?」

(何という完璧主義)

自分も王族だという事実をすっかり忘れているかのようなミトだ。

「ラミリア国王もそうだったんじゃないかな?」

「う~ん」

ミトは父を思い返してみる。

「そうですね。そうかもしれません。でも、家族の前では素顔を見せてくれてましたよ。だから、どうかのんびりしてください」

影もセルファも、自分の役割に対してどこまでも真面目で一切の妥協をしない。
そんな二人がミトは心配だった。
しかし、セルファにミトの気遣いは不要のようだ。

「僕は近しい人ほど、心配をかけたくないと思うタイプなんだ」

「それは…」

(ユフィーリオ様のことですか?)

思わず聞いてしまいそうになって、ミトは慌てて言葉を飲み込んだ。

「何かな?」

言葉を途切れさせたミトを、セルファは首をかしげて見つめた。

「え~っと、私は疲れている人が起き上がっているほうが心配なので、どうか横になってください。ほら、今日は、その、そういう日ですし」

セルファまで倒れては大変だと思い、ミトはどうにかして休んでもらいたいと思う。

「大丈夫」

しかし、一言で却下されてしまった。
こうなると、ミトは引き下がるしかない。
ミトはセルファの向かいに座った。